『プログラミングの心理学』をコツコツと読み進める試み その8
本の厚みからいうと、半分超えましたね。420ページ中の226ページまできました。 このペースだどとちゃんと読破できそうです。
『第8章 性格上の要因』
『狂った爆撃機』
いわゆる頑固な分からず屋の例。
『性格の変化』
性格の定義について
性格とは、個人が絶えず変化する環境に適合しようとして行う試みを決定し、またその試みによって修正されるところの、その個人の所得生全体からなる固有の統合隊である。 この定義の中で、読者をびっくりさせるかもしれない最初のことは、性格が固定したものではない、とはっきり断言していることである。 にもかかわらず、性格にはある永続的な性質があり、したがって変わる理由がないときには変化しない。 一見理由なく変わったように見えることがあるにしても、である。
下記の具体例が挙げられていますが、要約すると、
- 歯の病気からくるイラつき
- 身内の病気による集中両区の低下
2番目は私も経験があります。確かに仕事が手につきませんでした。母が末期ガンでしたから。 ここで問題なのは、職場の上司に打ち明けづらいんですよ、こういうの。 確実に期限が見えている場合はいいんですけど、余命があと云々っていうのが確実だとして、身内の問題だけに奇跡的に回復したり…と期待したいのが人情でして。となると、「いついつまでご迷惑をおかけします」なんて言えないので。
でも早く帰宅してできれば病院に顔だけでも、とか休日出勤だけは回避しようと思うと悪循環になりがち。
(前略)だが原因が職場の内部にあるか、それとも外部にあるかを症状から見分ける方法はないのだから、管理者にとっては、当面仕事に破壊的影響を及ぼしている行動を理解しようと努力する以外に選択肢はないのだ。
できる範囲で何か手を打ちましょう、ってことですかね。チームの生産性を最大化するように(現場のために)行動する(つまり、上層部や他部署と闘ってくれる)マネージャーは部下から好かれますし、そういう部署の従業員満足度は高いという認識です。
強い薬を飲まされて、こんなものを飲むよりは病気の方がましだと、と思うことは誰しもあるものだが、薬はやはり飲んだ方が、少なくとも治りは早いのだ。
いやはやこれは、苦笑いするしかないですね*1。
『性格の不変性』
性格上の向き不向きを踏まえたうえで、どのようなジョブアサインを行うべきか。著者の見解。
- 著者の言うところの「エゴレス方式」(相互レビュー+臨機応変な役割分担・交代か?)においては、適度な間隔で役割の交代が自動的に発生するために、心理的ストレスが特定の担当者に偏りにくい
- 性格は表層的な部分だけで成り立っているわけではないので、外面だけで性格を判断してジョブアサインをすると失敗する(たいていの人は管理職などの権力者に対して態度を変える場合が多い)
『主要な性格特性』
だが今日のプログラミング作業の現実に照らしてみれば、一週間以上の緊張状態に耐えられる能力がない人はプログラマとしての素質にかける、ということは多分確信を持っていえる。 もちろんこれは、作業内容とスケジュールが外部から決められている、プロによるプログラミングに関する話である。
現代日本風に言うと、数ヶ月間に渡り、毎日終電という生活に耐えられるかどうか、かなあ? いまの私にはできるかな?どちらかというと、できたとしても嫌だなってのは確か。
プログラマが仕事を取り上げられたり、または少なくとも大幅な変更があって以前の努力がゴミになってしまったりする、という心理的ショックに会うことなしに一生を、いやそれどころか一箇月を過ごすことは稀なのだ。
笑わせてくれる文章。もちろん苦笑いですけどね。日本だと取り上げらるというより、むしろ山盛り押し付けられるとか、毎週変更の嵐とか。まあ人生いろいろ。
プログラミングにとって重要な性格特性の最後の一つとして、ユーモアのセンスが挙げられよう。
著名なプログラマに顕著な特性ですね。
『性格テスト』
いろいろ書かれているが、最後のオチが面白い。戦場の気候条件と兵士の成績について、米軍が調査したとかしないとか。 で、その調査結果から、唯一影響があった因子がこれ。
「あなたは暑い気候と寒い気候のどちらが好きですか?」
同じことをプログラマの選抜に当てはめるなら、
「あなたはプログラミングが好きですが嫌いですか?」
私がSIerの入社試験を受けた時、こういう質問をされた覚えはないなあ。というより、そのSIerにはそもそも「コンピューターやインターネットが好き」という人が少ないように思えた。要するにとにかく上場企業に入りたい人の集まりだったのではないか。
今の日本企業の多くがパッとしないのは、そこにあると思う。とにかく待遇の良い大手上場企業に入ろうという人が、受験競争を勝ち抜いて、あれやこれやと必死で頑張った結果、なんかおかしな社会ができてしまったんじゃないのか。
『まとめ』
プログラマの性格に注目することは将来に大きく貢献するだろうという主張。
世の中そう胆汁じゃないと思うのですけれど。
『第8章 「性格上の要因」へのコメント』
この章の予言は当たったと自画自賛しておられるけれども、1990年代の話なのでピンとこない。 少なくともラリー・ウォールは反論しそう。
明日は9章。まだまだ続く。
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ではでは。