ホリエモンのセカイ評(書評:『君はどこにでも行ける』)
久しぶりに堀江本。
Twitter見てると失望するけど、本の中のホリエモンはまだ終わってはない、ような気がしてる。実業家としてはまた一世を風靡しそうではあるけど、日本のマスコミが取り上げるかどうかはまた別の話。
- 作者: 堀江貴文
- 出版社/メーカー: 徳間書店
- 発売日: 2016/03/25
- メディア: 単行本
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内容紹介
目次は以下のとおり。
はじめに
第1章 日本はいまどれくらい「安く」なってしまったか
第2章 堀江貴文が気づいた世界の変化<アジア編>
第3章 堀江貴文が気づいた世界の変化<欧米その他編>
第4章 それでも東京は世界最高レベルの都市である
第5章 国境は君の中にある
特別章 ヤマザキマリ×堀江貴文[対談]
おわりに
ざっくり言うと海外を飛び回ってるホリエモンの目から見た世界情勢と日本の現状についての解説。日本にいたいならそれでいいし、外に出たいならそれもありだよ、的な感じ。
以下、感想など
購入したのは電子書籍のほうなのでページ番号とかはナシ。
第1章
- 大相撲はグローバル化の成功例らしい
- 逆にもたついてるのがJリーグ*1
- 「買収」より「バイアウト」。言葉のニュアンスで損をしないように言い換える?
- マイルドヤンキーはマイルドヤンキーのまま
- エリート層は外へ出て、さらに稼いでお金持ちになっていくらしい
- 外国人の大富豪のところに日本人女性が嫁ぐ時代
第2章
シンガポール
位置No. 653:
人は、生まれた場所で死ぬ義務はない。
名言。
タイ
位置No. 1028:
遊びがビジネスになったとき、誰が儲かるか? 当然遊びの達人だ。コンサルティングビジネスと同様に、遊びを極めたものだけが持っている知識が、高い値段で売れるようになる。ロボットに代用されない生き方の一つにこういう明るい可能性がある。遊びを極めれば、仕事になる。これまでと逆の考え方が、一つの勝ちパターンになっていくのだ。
ロボットに遊びはできないよね。これは面白い発見。ドラえもんののび太の「あやとり」みたいなもんだろうか。『遊びを極めれば』というのはきっと『何かを極めれば』とも言えるような気がしている。
第3章
アフリカ
リープフロッグ(カエル跳び)現象
位置No. 1633:
いま〝リープフロッグ(カエル跳び)現象〟が起きているのだ。 普通、技術は段階的な進化を遂げるが、従来のスタンダードなインフラの導入をひと足飛ばして、現在のニーズに合った最新技術のインフラを利用して、一気に最先端に進化する現象だ。
非常に興味深い。現金やクレジットカードをすっ飛ばして電子マネーとか、資本主義が不完全なままシェアリングエコノミーに移行する可能性とか、アフリカにはいろんな可能性はあるんだろう。
位置No. 1651:
教育は、義務教育を敷いている国はまだ少ないので、学校の代わりに授業アプリや受験アプリで勉強できるシステムが、取り入れられる可能性もある。 一度も学校に通っていない、大学にも行っていない、だけどものすごい才能を持ったアプリプログラマーが、アフリカの奥地で誕生してもおかしくないのだ。
これはすごいんじゃないだろうか。今日本で教育コストがどうのこうのとか言ってるけど、そもそも学校自体がなくなる可能性があるんだから。 就職の応募要件に、大卒以上とかじゃなくて「○○のオンライン講座を受講」とか「○○のアプリでスコアXX以上」とかいう日が来るかもしれない。
学校に行かない教育ってものにすごい可能性を感じる。日本でも"N高校"とか言ってるけど。あれはまだ高校という枠組みとカリキュラムがあるわけで。
途上国に小学校を作るなんてのはもう時代遅れなのかもなあ、とか思ってみたり。
第4章
この章の感想としては、外国人として東京に住むのが最強なんじゃねって感じ。日本は働くところではない。
おわりに
位置No. 2500:
僕は約3年前からノマドになった。家やマンションは持たず、日本でも海外でも、基本的にはホテル暮らしで、自由に移動を繰り返している。
いいなあ。是非ともこういう生活がしたい。
一番の驚き
アベノミクス以前の円高のイメージがあるせいか、日本の生産性の高さからいうと円高が自然と思っていた。もうそういうのは幻想なんだろう。
アジアの他の国から見た日本というのはは割安で便利なショッピングモールなんだろうな、と。アジア全体を地方都市に見立てて、郊外にあるイオンモールのイメージ。アジアの盟主とかリスペクトじゃなくて、週末に時間をつぶすところなんじゃないか。
対アジアという意味では根本的に発想をあらためないといけないのかと痛感した。
それと自分が普段、他の国の人口やGDPを意識してないなあ、と痛感した。これからはそういうところも踏まえてニュースとか見ようと思った次第。
まとめ
良くも悪くも人間の感情・心情について考えない人だなあと。海外旅行未経験なので*2、堀江氏の世界情勢の判断はちょっとわからない。でも大きく外れてはいないと思う。
堀江氏は日本国内の反韓感情など人間の感情面をわかってない印象。そういう感情面にとらわれずにロジカルかつドライに判断してきたら成功したんだろうけど。もし堀江氏がストレングスファインダーの診断を受けたしたら、間違いなく「共感性」は入ってないだろうし、それが彼の一番の特徴かな。
娯楽として読んでもいいし、一種の観光ガイドとして読んでもいいと思う。あと、今まで読んだ堀江氏の本の中では一番表現がこなれていて違和感がないという感想。