知識のブラックホール

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書評:『エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢』

購入したのが今年(2017年)の1月で、読み終えたのは2月かが3月あたり。そして今更書評を書いている。

メインのブログがサブのブログか迷ったのは事実だけどサブブログの記事が少ないのでこっちにする。

概要

渡米してアメリカ(シリコンバレー)で10年以上エンジニアとして働いている著者が就職活動から現地での働きぶり、レイオフの経験などを紹介している本。

著者が「はじめに」で書いているように、別に海外での就職を無闇に奨励している本ではない。

(前略)「日本人エンジニアはだれもが、アメリカで働くべきである」と主張したいわけではありません。エンジニアとしての能力の高さに関わらず、アメリカに合う人、日本のほうが向いている人、どちらも当然存在します。アメリカという外国に住んで働くことには、メリットとデメリットの両方が存在します。メリットの宣伝だけに偏ることなく、デメリットも同じように知っていただきたいと思います。
竜盛博. エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド (Kindle の位置No.50-53). . Kindle 版.

書いてあること

  • どんな人が向いているのか
  • ビザの話
  • アメリカでの就職・転職ノウハウ
  • コーディング面接
  • アメリカの職場の実体験
  • 解雇対策

書いてないこと

  • 具体的な年収
  • 著者の経歴の詳細*1
  • 「これさえやればあなたも海外就職」という魔法の処方箋

……現実は厳しい。

面白いと思ったところ

アメリカに合っている日本人エンジニア

アメリカに合っている日本人エンジニアとして以下の項目が挙げられている。別に全部に合致しなくとダメとは書いてないし、そういう目的のチェックリストではない。

・ソフトウェアの本場で働きたいと思う
・ずっとエンジニアとしてコードを書いていたいと思う
・会社と従業員は対等な契約関係だと思う
・海外に住むのはカッコいいと思う
・自分の仕事は難しいのだから、高給をもらえるべきだと思う
・自分の専門を活かす職を日本で見つけるのは難しい
・自分はどんな環境でもやっていけると思う
・情緒より理屈で物事を考える
・たいていのことは自分でやってしまう
・日本の○○のノリが苦手だ
・日本の人間関係のウェットさが苦手だ
・お酒を飲めない
竜盛博. エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド (Kindle の位置No.524-531). . Kindle 版.

ずっとコードを書きたいか?と言われると自信がない。それと「情緒より理屈」というのは違う感じがする。お金のために割り切るとか、個人的信念を捨てて仕事ができるかというとNO。

どうしても感情に流されてしまう傾向があるのでアメリカには向いてないかな。他の項目は全てYES。

語学力も必要だけど海外移住のためには感情に流される悪癖をどうにかしないといけないというのは非常に参考になった。

役立ちそうなノウハウ

他にも色々あるけど一部だけ。

面接の通過率を上げる

ほとんどの日本人は抵抗を覚えると思いますが、非英語圏出身者が面接に呼ばれる確率を上げるためのトリックがあります。それは、英語のファーストネームを使うことです。
竜盛博. エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド (Kindle の位置No.961-963). . Kindle 版.

キリスト教の洗礼名みたいな感じなのだろうか。ジョン万次郎の「ジョン」とか海外かぶれの日本人のカタカナネームも同じような理由?

他に思い当たることといえば、過去に英会話の研修で「あなたの名前は発音しにくいからビジネスネームを名乗ったほうがいい」という趣旨のことを言われたことがある。呼びにくい(発音しにくい)名前は不利というのは、そうなんだろう。

野球選手の松坂大輔選手の「大輔」も発音しにくいから現地では"dice-k"とかニックネームがついたとかいう話もこれと一緒か。

個人のアイデンティティに関わるものを発音しにくいから、呼びにくいからという理由で別名にしていいのかなあ?

日本でも江戸時代はよく名前を変えていたらしいし、ペンネームみたいなものと割り切るか。

同僚の振る舞いに不快に思っているとき、理不尽な目にあったとき

感情を爆発させてはいけない。

理不尽な問題があった場合にどうすればいいかというと、問題が小さいうちに話し合うことです。不快なことをされたら、不快であることはしっかりと伝えましょう。真面目な表情で“It’s not acceptable.”などと言えば、たいていの人は同じことを繰り返したりはしません。
竜盛博. エンジニアとして世界の最前線で働く選択肢 ~渡米・面接・転職・キャリアアップ・レイオフ対策までの実践ガイド (Kindle の位置No.2194-2196). . Kindle 版.

まとめ

合理的で飲み会のない社会というのは憧れるけど、ビザの壁は大きい。とりあえず足りないのは英語力、技術力、そして車の免許、かな。

免許はペーパードライバー状態から目の病気で失効してそのまま放置しているかなあ。ついでに速度恐怖症気味だからあまり運転好きじゃないし*2


海外就職に興味がある人は必読の一冊だと思います。

読書の秋ということで一度読んでみてはいかがでしょうか。

それではまた。

*1:全く書いてないわけではないけど

*2:正直教習所に通った時間と費用、無駄だったと思っている。

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