書評:『ザ・プラットフォーム』
Kindle Unlimited経由。買わなくてよかったよ。
- 作者: 尾原和啓
- 出版社/メーカー: PLANETS
- 発売日: 2015/06/09
- メディア: Kindle版
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タイトルの「プラットフォーム」は間違いで、「コミュニケーション消費」に改めるべき。
前半は海外のITベンダ(Google、Facebook、Microsoft のプラットフォームについて、著者の推測を交えつつ解説している本。特にコンセプト動画の解説は面白い、があくまでも著者の見解であって公式なものではない。
前半の「共有価値観」というキーワード、4章の「ビジネスモデルの重力」というキーワードは興味深い。一方、自分がプラットフォームを立ち上げる、運営するために役立つかは疑問。
で、「どうやったらこの連中を倒せんの?」という問いには回答がない。
はっきり言ってこの本より孫子の兵法を勉強すべきかなと思う。
- 作者: 許成準
- 出版社/メーカー: 彩図社
- 発売日: 2013/05/17
- メディア: Kindle版
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5章は面白いが、日本型プラットフォームなるものは有害だと確信した。いかなる理由であれ顧客を甘やしてはいけない。
ネーミングという子供騙しで劣化コピーを正当化していたら国際競争に負ける。
メールに互換性無視でShift-JISの独自拡張を使った連中の頭の中はこうなのかという点ではかなり興味深い。
目先の小銭拾いに熱中しているうちに気がついたら自分の庭が海外勢(外資系企業)の草刈り場になる。
消費者が目先の利益で動くのは仕方ないとして、経営側がリテラシーの低い顧客に媚び続けたから昨今の「お客様は神様」という風潮になっている。
5章の「健全な保護主義」というキーワードも疑問。安心してリスクを取れるようにプラットフォーム側が一部の企業を優遇するというのは聞こえはいいが、ただの依怙贔屓(しかも組織を優遇して個人を排除している)。何よりそういうリスクを取れるように支援するのは国家とか社会というプラットフォームの仕事で営利企業の仕事ではない。
プラットフォーム運営企業に権力を持たせてどうする。
この本の著者はやたら日本的なものの良さを強調しているけど、結局「人が介在している」、つまり人海戦術で、そして著者は搾取する側にいる。一定量の労働がないと成立しないものをGoogle やAppleにはない」って喜んでる。
労働は善っていう前提。
Amazonも宅配便のドライバー抜きにはどうにもならないんだけど、連中は自動運転とかドローン配送とか人を減らして人間を労働から外そうとしているという点で根本的に違うんじゃないかと思っている。
『プラットフォームは人を幸福にする』という意見については大賛成。ただしそれは日本人によるものではないと思う。他の国の人に任せよう。
だってケチくさいもん。
技術系の人や自分でプラットフォームを立ち上げたいと言う方は別の方の本の方がいいと思う。
ソーシャルアプリプラットフォーム構築技法 ――SNSからBOTまでITをコアに成長する企業の教科書 Software Design plus
こちらとしては以上です。