『プログラミングの心理学』をコツコツと読み進める試み その14
読書メモはこれで最後。
『第5部 エピローグ』
セミナーに参加して1年経ったあと、彼らが漏らす典型的な感想はこうだ。 「こういうことについて話すのは十分楽しいことでしたが、だんだん私の目にも職場で起こっていることが見え始めてきました。うわあ、何だこれは!」
概ね同感です。私の以前いたSIerの開発現場について、「何だこれは!」というコメントをせずにはいられません。 在籍当時も「ダメだこりゃ」とは思っていましたが。
まさにマネジメント、本書の言葉で言うと「管理の問題」でしたね。このエピローグにおける一番の要点は、「コンピュータのOSを使いこなすよりも、意識というなの自分自身に搭載されたOSを使いこなせ」というのが著者の主張。
目の前の事象から少し距離を置いてものごとに立ち向かえ、ということでしょうか。
だから私は、この本が圧政側の勢力によって利用されないことを望む。だがまた私は、それが必ずや彼らに利用されることを知っている。 だから私としては、この本が彼ら以外の勢力によって大いに利用され、それによって圧政を利することへの埋め合わせができますように、と願うばかりである。
オープンソースソフトウェア(OSS)の開発にかなり影響を与えているという意味で、著者の願いは叶えられていると思う。 おそらく著者の言うところの圧政側は官僚組織だろうから、この本の説くような方法はなかなか導入できないだろう。
よくよく思い返すと、私が以前働いていたSIerにおいても、この本の影響を受けていたのかもしれない、と思う部分がないこともない。 ただ、やはり「縦割り」というか、コンポーネントや業務単位で担当者を固定、つまりソースコードや作業の属人化によってその恩恵は限定的だったのではないかと思う。むしろ、この本に紹介されているダメ事例を彷彿とさせる失敗がほとんどだった。
『第5部 「エピローグ」へのコメント』
このエピローグは時の試練に耐えた。私は一言も付け加えることがない。
購入してから数年経って読んでいるわけですが、まさに時の試練に耐えましたね。
購入した当時、つまり学生時代にこの本を読んでいたらほとんど素通りして古臭い本で終わっていたかも。SIerの現場を経験した分、著者の言い分がよく理解できたと思う。 そういう意味では積ん読状態にしておいたのも無駄ではなかったかな。
著者のワインバーグ氏についてWikipediaを参照。 ジェラルド・ワインバーグ - Wikipedia
だいたい2週間ちょっとで読破。
プログラミングの心理学―または、ハイテクノロジーの人間学 25周年記念版
- 作者: ジェラルド・M.ワインバーグ,木村泉,久野靖,角田博保,白浜律雄
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2005/02
- メディア: 単行本
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また整理して書評としてまとめる方向で。