IT企業の経営者、(と人事部?)に読ませたい古典。『プログラミングの心理学』
読書メモのまとめ。個別の章についてはここ2週間ほどだらだら書いてますのでそちらへ。
プログラミングの心理学―または、ハイテクノロジーの人間学 25周年記念版
- 作者: ジェラルド・M.ワインバーグ,木村泉,久野靖,角田博保,白浜律雄
- 出版社/メーカー: 毎日コミュニケーションズ
- 発売日: 2005/02
- メディア: 単行本
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- 作者: ジェラルドエムワインバーグ
- 出版社/メーカー: 日経BP社
- 発売日: 2013/09/06
- メディア: Kindle版
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感想。
本書を読んだ感想は、「やっぱり人」、ですね。
どんな開発手法を採用したところで実際に仕事をするのは機械ではなく人間。
働く機械ではないんです。コーダーだのPGだの呼び方を変えたってダメ。 プログラミングは血の通った人間の仕事。
プログラマ、つまり大なり小なりコンピュータが好きな人間たち。パズルのような知的な遊びが好きな人もいれば、天邪鬼タイプまで千差万別ながらある程度の共通項があるはず。少なくとも機械じゃない。
人件費という数値(=コスト)ではなく、感情のある生き物として扱っていただきたいと思います。
プログラマに限った話ではないですが、頭ごなしに締め切りを押し付けて、仕事の意義を説明することもなく、まるで家来のようにこき使う。 それでは上手くいきませんよ。
本書にはプログラマ個人へのヒント、チーム運営のヒントが散りばめられています。ただ、様々な事例をとりあげている関係で、時間のない方には読みづらいところも多いかなと思います。今時の自己啓発書やビジネス書のように要点が簡潔にまとめられていたりはしません。小手先のテクニックを解説するような本でもなく、手っ取り早く正解が得られるようなものでもないです。
もともとが1970年代はじめの本なのでIT系の人間からしても現物を見たことがない機器の話も登場します。時代は変わってもソフトウェア開発の現場は様変わりしているはずですが、人間の習性はそれほど変化していないようです。ソフトウェア開発の経験者であれば「この業界、あまり進歩してないなあ」と苦笑いしたくなる部分も多いはず。
本書は良くも悪くも「思考の材料」*1です。本書を片手にソフトウェア開発の現場のメンバーと、経営畑や人事畑の方で一緒にディスカッションするというのも面白いと思います。
ちょっと文章が古臭いという点は否めませんが、古典的名著といわれるだけのことはあります。
最近のビジネス書に食傷気味の方、タイムスリップした気分で夏休みの課題図書なんかにいかがでしょうか。
後はこの本から得た気づきをどこで活かすか、ですかね。まずは著者の勧めるとおり、「プログラムのソースコードを読む」かな?。
以上、購入してから7年後の感想でした。
*1:まさに本書のオビにも、『まえがき』にもそういう記述があります