書評:『一生お金に困らない生き方』
前回に続いて、心屋仁之助さんの本です。お題は『一生お金に困らない生き方』。
一気に読んでしまいました。読みやすくて面白い本です。
- 作者: 心屋仁之助
- 出版社/メーカー: PHP研究所
- 発売日: 2015/04/17
- メディア: Kindle版
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一番のキーポイントは「存在給」という発想と、「お金は空気のようにそこかしこに存在している」という意識のあり方でしょうか。
タイトルどおりに、一生お金に困らないかどうかは、自分の持つお金に対するパラダイムを変えらえるかどうか。
ちょっと危ないスピリチュアル系の気配もしないではないですが、割とまともな心理学系の本と一致している部分もあるんで完全に眉唾ではにと思います。
以下、各章ごとに抜書きプラス個人的な経験も踏まえていつも通りグダグダと。
第1章
会社の上司が、あまり働かないであなたよりいい給料をもらっていたら、「ステキ! 私もそうなりたい」と思いますか?それともムカつきますか?
はい、ムカつきます。というか、怠惰は悪という刷り込みがあります。 サボりは悪という親から、そして学校の先生から受けた刷り込み故に。
お金に対する価値観について
お金に対する間違った認識の例としてわかりやすそうな箇所を。
楽してお金を儲ける人なんて許せない。
お金儲けは品がない。
お金は汚らわしい。
私の場合、1番目はYes。2番目はやり方次第でしょという認識。3番目はNoと言えます。 といか、最近ようやくお金とお金儲けに対するマイナスのイメージから離れられるようになりました。
問題は1番目。本書を読み終えてなお、楽して儲けるを全面的には肯定できていないようです。
あと、パクチー云々ってあるけどパクチーって何なの?野菜の類?
プログラミングが嫌いな人がプログラマになることはないというような喩え?
お金持ちのイメージ
アメリカでは成功した人はたいてい慈善活動をしたり、莫大な寄付をしています。
お金持ちといえば、社会貢献をする人の代名詞。だからお金持ちはたいてい尊敬されます。
アメリカではお金持ちやお金に対して、ポジティブなイメージがあるわけです。
まあ日本は…引用するまでもないですね。
お金は簡単には入ってこない。だからお金持ちは何か汚いことをしているに違いないというのが日本の一般的な考え方ですね。 そうじゃないよってのはが本書のコンセプト。
お金に困っていない人の考え方
お金を使うときには、「使ったら、入ってくる」と信じることが大切です。
コペルニクス的転回、ですね。
お金を使うたびに「お金が減っていく」と考えるか、 お金を使うたびに「また入ってくる」と考えるか。
後者の方がお金が寄ってくるような気がしますね。
お金を使うことを損だと思うか、逆に得だと思うか。引き寄せの法則を信じるなら、断然後者が合理的に思えてきますね。
信じるものは豊かになる?
第2章
そう、空気と同じで「見えていないけどある」のがお金(豊かさ)なのです。
(中略)
空気も、いつでも吸えると知っているから、息を止めなくても大丈夫なように。
確かに空気がなくなったらどうしようなどという心配はしませんね。 あって当たり前ですし、空気を吸うことに遠慮はしません。 なかなかいい喩えです。
収入=自信の度合=安心(心のひらき)の度合=自分が認める自分の「ある」(=価値)。
自分に対する肯定の度合ってところでしょうか。
恐ろしい質問
あなたがまったく働けず、社会の役にも立たず、何の成果も出していなくて、人に迷惑をかけている、 寝ているだけの状態になった時、あなたが月々もらえるお金はいくらですか?
なかなか答えられませんね…。ゼロと言いそうになりますが、月10万円…いやここは大きく月百万円ぐらい…(笑)。
自分にどれか絵の価値が「あると思っているのか」がポイントだそうで。
(前略)そしてその価値を具体的にあらわすバロメーターが「存在給」というわけです。
存在給ですよ、存在給。基本給でも職責給でもなく存在給。
自分に自信がないと、お金が入ってきたとしても、お金を受け取る資格がないんじゃないか、と不安になってお金を手放してしまうそうです。ゆえに貧乏スパイラルから抜け出せない。
自分が働かなくても、
価値を提供しなくても、
いっぱいもらっていいんだ、という考え方に変えてほしいんです。 (強調は原文ママです)
自分が存在するだけで収入がある。 そしてその金額は自分のイメージで決まる。
今までの発想と完全に逆ですねぇ。
自分に自信を持つ、自分の価値を信じる、自分を肯定すればするほどお金が入ってくるという 価値観の転換。
豊かさ神授説?とでも言えばいいのか。
自分はいくらでも豊かさを受け取れる、と信じる。
お金とはなんぞや
結局、お金が労働や、人を喜ばせたり、役に立ったことの対価だと思っている限り、働いて、働いて、働いて、お金を増やそうとします。
貧乏金なしの正体はこれか。
働かなきゃ働かなきゃという考え方が貧乏の元だったということですか。
玉の輿にのった人はどうなの?
お金持ちと結婚して優雅な暮らしをしている奥様の場合はどうなのか。
自分はこれだけもらっても当然だと思っています。奥様は「存在給」が高い。だからお金持ちなんです。
昔の王侯貴族も同じようなものか。
「どうせ自分には価値がある。何もしないでも価値がある。がんばって歩合給を上げなくてもいいんだ」と思ってください。 (強調は原文ママです)
どうせってところがポイントなのでしょうか。これで収入が上がるというなら儲けもの。やってみる価値はきっとあります。
第3章
お金に対する「大前提」を崩すためには?
お金にまつわる過去の体験を思い出して、自分を許すといいそうです。
別エントリにします。
他力のススメ
他力の効用がつらつらと書かれております。
人を信用していない人のところに、人は助けに来ません。
私が人の助けを借りるのが苦手な理由はこれか。他人を信じきれないか。 「ああ、なるほど」という感じです。
4章
お金=空気
第2章のところでも出てきていますが、すごい発想の転換…。
空気がなくなる心配はありませんし、誰でも肺の容量の限り吸い込めます。 ただし、吐かないと吸えない。空気のことを意識することがありませんが。
豊かさを受け取るための4段階
第一段階
「なんか知らんけど」豊かになった、のように、 予想外のところからお金が入ってくることを信じる。だそうな。
第二段階
「自分は豊かさを受け取れる存在である」と気づくこと。自分を認めること。受け取っていいんだと、自分を許すことです。 (強調は原文ママです)
第三段階
空気を吸うとき、酸素だけでなく二酸化炭素や窒素が付いてくるように、お金と一緒に「何かいらないもの」も一緒に受け取る。
近所づきあいや親戚づきあい、もしくは妬みや有名税のことだと思えばいいのかな?
中世の貴族や大名もいろいろあっただろうし。
第四段階
お金の循環を止めない。使うべきときは使う。節約しようとすればするほどお金が出て行く、らしい。
お金を惜しむのではなく、お金の使い道を「いい」「悪い」で判断するのでもなく、意味のあることにも、ないことにもあえて使ってみる。
無駄遣いでもOKらしい。何が「いいこと」かは簡単には判断できない。 気分良くお金を使いなさいということか。
第5章
具体的な習慣についての章。
- 金額ではなく、好き嫌いで選ぶ習慣を身につける
- お金は「ある」ことにして行動する
- (成金ではなく)お金持ちの習慣を真似する
- 顧客の要望や期待に応えるのではなく、自分の要望に応える
- 自分が役に立っているかどうかではなく、自分が存在することに価値があると気づくこと
- 神社ミッションをする(一種の托鉢)
- (不幸だった)両親の人生を肯定する
- 両親の価値観を否定する
- あえて損な買い物をする
- 自分をすごいと肯定する
この章でインパクトがあると思ったところは以下。
僕たちは今までお金とは、人からもらえるもの=労働の対価=役に立った対価、と思ってきました。
(中略)
そうやって、お金=頑張った対価、つまり役に立った対価だと思い込んでしまったのです。
これが前提で、
でも、それはとんでもない「わな」だったのです。資本家の洗脳にまんまとはまっていたわけです。
というオチ?まあいろんな考え方があります。
貨幣経済以前は、食糧生産イコール仕事で、自分の食べる分確保すればそれでOKだった訳ですよね。 野生動物はどういう意識で生きているのでしょう。昆虫は? 餌を本能的に探し出している訳で、餌がないからどうこうという不安に駆られているようには見えませんし。
まとめ
要点のまとめ
- 「お金」、「お金儲け」、「楽をすること」 この三つを肯定的に捉える
- お金はあって当たり前と思う
- 自分は豊かになって良いと信じる
- 気分良くお金を使う
明示的には書かれていませんが、学校の「ズルはダメ」という発想からの脱却を示唆しているようにも思えます。
第3章に関しては、もうちょっと深掘りしてエントリにしたいと思います。
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