知識のブラックホール

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必要性というキーワードから読み解く現在とその先(書評:未来に先回りする思考法)

以前から気になっていた「未来に先回りする思考法 」を読みました。昨年の秋頃発売なのでやや古いですが。

ポイント還元20%でセール中、のようです。

本書のキーポイントは、「テクノロジー」と、「必要性」、そして「当たり前は時代とともに変化する」といったところでしょうか。 前半は過去のテクノロジーによる社会の変化のパターンを必要性に着目しながら紐解いていくという内容です。 後半はテクノロジーとの向き合い方、先を読むためのヒントといったところでしょうか。

一貫して「技術」ではなく「テクノロジー」という表現が使われているのも印象的です。

他の章もなかなか素晴らしい内容ですが、一箇所だけ興味深い箇所があったので引用しておきます(第4章より)。

国や時代を超えて共通する進化の原理には、個人が好きに変えられるほどの自由度はありません。そして、社会で生きる限り、その法則性から誰も逃れることはできません。魚は川の流れに逆らって泳ぐことはできますが、川の流れそのものを逆流させることはできないのと同じことです。 川の大きさに対して、魚である自分がやれることの少なさを感じて、一時期、私はとても落ち込んだことがありました。自分の存在する意義がないように思えたからです。
ただ、それでも敷いて自分が存在している意味を求めるとすれば、それは「来るべき未来の到来をできる限り早めること」にあるのではないかと、私は思っています。

これがエリートの悩み、なんでしょうか。私も自分の無力感を感じることはしばしばですが、今までこういう発想にたどり着いたことはないです。

著者の言う「来るべき未来の到来を早める」、というのは現在の社会における課題が解決した状態、すなわち現在より不幸な人が少ない世界、ということのようです。未来が現在よりも「より良い世界」であるなら、その到来を早めよう、という考えなんでしょう。表現は違ってもMake the world better place. という梅田望夫さんの著作で紹介されていた発想と相通じる考え方だと思います。

アメリカのIT業界と、日本のそれの最大の違いはこのあたりかなと思います。世界をより良い状態へ(時計の針を進める方向へ)というアメリカと、経費削減とかKPIの最大化に躍起になっている日本。

非常に考えさせられる一冊でした。それとやっぱり気になる本はさっさと読むべきと痛感しました。

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