老人だけの問題じゃないでしょ……(書評:『母の家がごみ屋敷 高齢者セルフネグレクト問題』)
- 作者: 工藤哲
- 出版社/メーカー: 毎日新聞出版
- 発売日: 2018/02/23
- メディア: 単行本
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内容紹介
内容はいわゆるゴミ屋敷の問題。
図書館の新着本コーナーに有ったので読んでみた。実を言うと親戚の家がじわじわとゴミ屋敷化しているので他人事ではない……。
よりにもよって、無能な野党を擁護している毎日新聞からの問題提起。
いろんな事例の紹介とともに、自治体や地元の町内会がどう対処したかの事例も多数掲載されている。
個別のケースについてかなり掘り下げて原因について調査している。また、専門家の見解も掲載されている。
安倍首相を引きずり下ろすために奔走してないで、こういう問題こそちゃんとやってほしい。
理系白書も毎日新聞の問題的だったはずなので調査能力もあるのに、その影響力を正しく活用してないね、こいつら。
問題の原因について
本書によると、ゴミ屋敷が発生する原因を一言で言うと「セルフネグレクト」ということらしい。解決の妨げになっているのは、
- 縦割り行政
- 本人の意志・個人の尊厳
- 認知症・障害などの個々の事情
- ゴミの分別が高齢者には難しい
ハッキリ明言されていないが、財産権と個人の意志、そして世間体の問題が大きい。要するに人権問題。また本文の歯切れが悪いが経済問題(治療費・ゴミの処分の費用 etc.)も含まれる。
本文にある通り、認知症でゴミの分別ができなくなるというのは高齢者には大きいのだろう。ゴミの分別が厳しくなった結果、意外なところに悪影響が出ているという皮肉な話。
プラスチックの分別が進んだ結果、可燃ごみの燃焼温度がなかなか上がらずに重油をゴミにぶっかけてもやしているというのは知っていたが、ゴミ屋敷への影響については知らなかった。
紹介されている「ゴミの分別ルールを高齢者だけ免除」ってのは頭おおかしいと思った。未成年だけ or 高齢者だけ特別扱いってのは筋が悪いと思う。
ゴミの分別自体、無駄だと思っている*1ので。それこそ人工知能とロボットにやらせればいいと思う。
たとえ高齢者でも一部の人間だけ助けるってのは(予算的に仕方ないとはいえ)納得いかないでしょ。
すぐに自己責任論を振りかざす世間の風潮からどうにかしないといけないのでは、と思った。
未成年は仕方ないにしても、中高年でも助けを求めている人がいるはず。こういうゴミの問題だけじゃなくて、いろんな形で。そしてそれは行政がするべき仕事。
税金を取っているのは自治会じゃなくて行政なんだから。
税金を取るっていうことをなんとも思ってないんだろうけど、強制的に上前をはねてんだからさ。
また、ことあるごとに地域のつながり云々ってのはおかしい。行政の仕事を自治会や地域のコミュニティに丸投げしてんじゃねぇよって話で。税金取るだけ取って、無駄遣いしてるから必要なところに予算がいってないのでは。
まとめ(というか個人的見解)
久しぶりに毎日新聞、いい仕事をしていると思った。
本文には一言も減給がないけど、安楽死ないし尊厳死ってカードもある。本人に生きる意欲がなくてゴミ屋敷化しているなら、これも一つの選択肢。
尊厳とかプライドの問題を考えるなら、認知症とか痴呆症ではなくマシな名称を考えるか、何処かで聞いた話だけど 認知症の治療ではなく予防という名目で治療するとか。
国(政府)が動かないといけないというか、そこに影響力を講師してこそマスコミだと思うんだけど。
世間体の問題と、生きる意欲(or 気力)をどうするかってのは行政にはどうにもできないのかな。社会の風潮に関しては以前ならマスコミが多少は 影響を与えてたはずだけど。
不安を煽ってばかりいるから、肝心な時にマスコミの影響力が正しく発揮されない。
お年寄りが自主的に片付けようにも、体力がないので啓蒙には限界があるってのが最大の問題。
まあ悲しいけど、これが高齢化社会ってこと。圧倒的なマンパワーの不足。
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*1:充電池とか重金属の分別は必要。ただ、プラスチックの分別は無駄という見解