書評:『スタンフォードの自分を変える教室』
購入してから読み切るまでかなり時間をくってしまったけど、どうにか読み終えたので書評記事。
- 作者: ケリー・マクゴニガル,神崎朗子
- 出版社/メーカー: 大和書房
- 発売日: 2015/10/10
- メディア: 文庫
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購入時点ではKindleより文庫版が安かったので久々に紙の本。
非常に有益な本。ただ耳に痛いというか真面目な内容なので読むのは楽ではないしあまり楽しくない。
役は非常にいいし文章もユーモラス。ただ、それでもワクワクするような内容ではないのでちょっとしんどい。しかし、ものすごく有益。
「意志力」をテーマにした本なのだが、この本を読み終えること自体が「意志力」を要求しているように思う。
役に立ちそうだと思った内容
人が誘惑に負けるのはどんなときで、それを防ぐにはどうするのがいいのか、心理学の研究成果を紹介しながら解説している。
読みながら自分のパターンを分析していけば生活習慣の改善につながる……はず。
モラル・ライセンシング
要約すると「こんなにいいことをしたんだから、ちょっとぐらいサボっても(or 悪いことをしても)許されるよね」という自己正当化。
ダイエットが失敗したり、学校の先生や政治家・宗教家のスキャンダルを見事に説明している。
個人的には官僚の天下りもこれで説明できるのではないかと思う(本文でも言及しているが)。
これに対する対処法は、自分自身の行動に対して「なぜ」と問いかけるというもの。自分が設定した目標に対して、なぜこれを実現したいのか、あるいは誘惑に負けそうなら、なぜ自分はこの誘惑を感じているのか、など。
効果的なストレス解消法
我々が普段実行しているストレス解消法には効果がないらしい。この本で効果がある、とはっきり明言されているのは以下のとおり。
- エクササイズやスポーツをする
- 礼拝に出席する
- 読書や音楽を楽しむ
- 家族や友達と過ごす
- マッサージを受ける
- 外へ出て散歩する
- 瞑想やヨガを行う
- クリエイティブな趣味の時間を過ごす
米国心理学界が例として紹介しているもの(P.220より)。
本当に効果のあるストレス解消法は、ドーパミンを放出して報酬を期待させるのではなく、セロトニンやγアミノ酪酸などの気分を高揚させる脳内化学物質や、オキシトンなどの気分を良くするホルモンを活性化させます。また、脳のストレス反応をシャットダウンし、体内のストレスホルモンを減らして治癒反応や弛緩(リラクゼーション)反応を起こします。(p.220L9-L13)
そのほか
- 自分が誘惑に負けるときはどんなときか
- 責任感と意志力を向上させるには「自分を許す」
- 落ち込んでいるときは誘惑に負けやすい
- テレビのニュースや映画など、恐怖や不安を感じると衝動買いしやすい
まとめ
読んでいて楽しくないが、ショッキングで有益な本なのは間違いない。
この本は訳者あとがき込みで366ページと欧米人の書いたビジネス書にしてはやや薄い方だが読むにはエネルギーがいる。それなりの時間と注意力、そして何よりこの本のテーマそのものである『意志力』を要求される。
しかし、間違いなくその代償に見合った気づきや生活習慣の改善といったご利益をもたらしてくれるはず。
少し前に話題になった本ですが、読書の秋ということで時間の取れるときにこそ読んでみてはいかがでしょうか。
それでは。